東京高等裁判所 昭和45年(う)720号 判決
被告人 新田一郎 外一名
〔抄 録〕
所論は、「原判決が、被告人両名をいずれも公職選挙法二二一条の罪につき罰金刑に処しながら、同法二五二条一項の規定を適用しないとして、選挙権および被選挙権停止の規定を全面的に排除したのは、同条四項の解釈適用を誤つたものである」と主張する。原判決の主文の表示、法令の適用が、所論指摘のとおりであることは、原判決文上から明らかである。そして、公職選挙法二五二条四項の規定は、本件に適用される部分だけを摘出すれば、「裁判所は、情状により、刑の言渡と同時に、第一項に規定する者で同法二二一条の罪につき刑に処せられたものに対し第一項の五年間の期間を短縮する旨を宣告することができる」とあり、これによれば、本件の場合、公民権停止期間を短縮することだけが許されており、全く停止しないとすることは許されていないこと、従つて、原判決に、右法令の解釈適用の誤りがあることは、正に所論指摘のとおりである。そして、この誤りが判決に影響を及ぼすことは明らかであるから、論旨は理由がある。
(江里口 上野敏 横地正)